冬になると、ガソリン代が急に高くなったと感じませんか? 「いつもと同じように運転しているのに、燃費がガクッと落ちる……」 実はそれ、あなたの運転技術のせいだけではありません。「冬特有の物理現象」が原因です。
この記事では、よくある「暖房を消しましょう」といった根性論ではなく、車の仕組みを理解してスマートに燃費を改善するテクニックを解説します。
1. なぜ冬は燃費が悪くなるのか?(3つの真実)
「冬はエンジンが冷えるから」というのは正解ですが、理由はそれだけではありません。
- 空気密度の変化: 冷たい空気は密度が高く、夏場よりも走行時の空気抵抗が大きくなります。
- 燃料増量(リッチ補正): エンジンは冷えている時、安定して回転させるために通常より多くの燃料を噴射する仕組み(チョークのような機能)が働きます。
- オイルの粘性: エンジンオイルやギヤオイルは低温で硬くなり、内部の回転抵抗が増えます。
2. 実践!冬の燃費を劇的に変える4つの戦略

① 暖機運転は「走行」で行う
停車したままの暖機運転は、燃費を0km/Lにする最ももったいない行為です。 現代の車なら、エンジンをかけて数十秒(シートベルトを締め、ナビを設定する時間)で十分。低速で走り出し、走行しながら各部を温める「走行暖機」が最も効率的です。
② 「エアコン(A/C)ボタン」をオフにする
家庭用エアコンとは違い、車の暖房は「エンジンの排熱」を利用しています。 そのため、A/Cボタン(コンプレッサー)を入れなくても温風は出ます。
- 基本: A/Cはオフ(エンジンの熱だけで暖める)
- 窓が曇った時だけ: A/Cをオン(除湿機能を使う) これだけで、エンジンへの負荷を大きく減らせます。
③ シートヒーターを主役に、設定温度は「控えめ」に
設定温度を高くすると、エンジンは「もっと熱を作らなきゃ!」と判断し、燃費悪化を招きます。
- 対策: 暖房の温度設定は20〜22度程度に抑え、シートヒーターやステアリングヒーターを活用しましょう。これらは電気で直接体を温めるため、エネルギー効率が非常に高いです。
④ タイヤの空気圧を「冬用」に調整する
空気は冷えると収縮します。夏に調整したきりのタイヤは、冬には確実に空気圧不足になっています。 空気圧が下がると「転がり抵抗」が増え、目に見えて燃費が悪化します。指定空気圧より5〜10%高めに設定するのが冬のセオリーです。
冬のタイヤトラブルは燃費だけじゃない?
冬は気温低下で空気圧が下がりやすく、燃費悪化だけでなく「バースト(破裂)」や「スリップ」のリスクも高まります。また、寒さでバッテリー性能が急落し、突然のエンジン不動に悩まされるのもこの季節。
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3. ハイブリッド車・EV車の方へのアドバイス
ハイブリッド車にとって、冬は最も苦手な季節です。 「暖房を出すためにエンジンを回す」という本末転倒な動きを防ぐため、「エコモード」を積極的に活用しましょう。また、EV車の場合は走行風によるバッテリー冷却を防ぐため、可能であれば屋内駐車場を利用するだけでも航続距離が変わります。
4. まとめ:賢く温めて、賢く走る
冬の燃費対策をまとめると以下の通りです。
- 過度なアイドリング(暖機)はやめる
- A/Cスイッチを賢く使い分ける
- シートヒーターをメインに使う
- タイヤの空気圧をチェックする
これらを意識するだけで、給油の回数が驚くほど変わるはずです。愛車にも財布にも優しい「冬のドライブ」を楽しみましょう!

